新潮日本古典集成新装版「源氏物語四」を読んで

照る日曇る日第981回

本巻では、源氏36歳の「初音」から39歳の「藤裏葉」までを収めている。

「胡蝶」では有名な春秋優劣論に落とし前がつけられ、秋派の中宮に対して春派の紫の上が「勝利」をおさめるのであるが、古来戦われてきたこの春秋いずれが麗しい季節かという争論に、文藝修辞以外のさしたる意味があるとも思えない。

それより大変なのは男女の仲で、源氏が拾ってきた夕顔と内大臣の落しだね、超絶美人の玉蔓をめぐって当の源氏や実子の冷泉帝、夕霧を含めた貴人たちの壮絶なさや当てが繰り広げられる。

玉蔓自身はどうやら源氏の弟、蛍兵部卿に惹かれていたいたようだが、その意に反して、なんとなんとダークホースのマッチョ、鬚黒の大将に貞操を蹂躙されてしまう。鬚黒の取次役の女房、弁のおもとの大手柄であったあ。

しかしこの手は若いころからの源氏の常套手段だし、それをライバルに使われたからといって誰に文句を言う訳にもいかない。だいたい養女にした親友の娘に手をつけようとする源氏の好色自体が浅ましいのである。

一方幼馴染の雲居の雁との仲を引き裂かれていた源氏の息子夕霧は、面子と政争と恋心の板挟みとなってぐだぐだ苦悩していたが、本巻の最後の「藤裏葉」でやっとこさっとこハッピーエンドとなって、源氏一族はわが世の春を迎えることになる。メデタシ、メデタシ。

ついでながら、平安時代の貴族社会の風流としての薫香競べや仮名について論じた「梅枝」の段は、なかなかに興味深い。

 限りなくクロに近いと思われているのでこの男支持率がどんどん低下するのだ 蝶人